転職エージェントの報酬の仕組み なぜ無料なのか、なぜ入社を急がされることがあるのか

転職エージェントは、求職者からお金を受け取りません。では、どこから報酬を得ているのでしょうか。仕組みを知ると、担当者の動き方が見えてきて、上手に使いやすくなります。
報酬を払っているのは、採用した会社
有料の職業紹介を行う事業者は、求職者から手数料を受け取ってはならないと、職業安定法で決められています(一部の職種に例外があります)。紹介会社は、人を採用した会社から、紹介手数料を受け取ります。
手数料には、法令で上限が決まっている「上限制手数料」と、事業者が手数料表を厚生労働大臣に届け出る「届出制手数料」があります。令和6年度(速報)の手数料収入は全国で約9,835億円で、そのうち届出制が約9,808億円と、ほとんどを占めています。
手数料の相場
届出制手数料の多くは、採用した人の年収に一定の割合を掛けて決まります。厚生労働省が事業者に尋ねた調査(2013〜14年実施)では、紹介手数料の割合は「20〜30%未満」が最も多く、次いで「30〜40%未満」でした。10年以上前の調査なので、目安としてご覧ください。
| 厚生労働省の公表資料 | 1件あたりの手数料 |
|---|---|
| 職業紹介全体(令和6年度・速報) | 約103万円 |
| 看護(令和6年度・事業所ごとの平均額) | 約72.5万円 |
| 介護(同) | 約59.7万円 |
たとえば年収500万円の人を、手数料率30%の紹介会社から採用すると、会社は150万円を支払う計算です(説明のための例です)。看護・介護・保育・医師は、厚生労働省が職種別の平均額を公表しています。
入社を急がせる力が働く仕組み
多くの紹介会社では、手数料は、紹介した人が採用されて入社して初めて、採用した会社から受け取ります。つまり、紹介会社にとっての報酬は「入社が決まること」と結びついています。悪意があるという意味ではなく、仕組みの上で、次のようなことが起きやすくなります。すべての担当者に当てはまる話ではありません。
- 内定の承諾期限を短く示し、「今月中に決めましょう」と急がせる
- 希望に完全には合わなくても、選考が進みやすい求人を先に勧める
- 入社後に大変になりそうな点の説明が、薄くなる
厚生労働省の公表資料では、紹介で就職した人のうち、就職後6か月以内に離職した割合は、令和5年度の実績で、看護が12.9%、介護が19.9%でした。離職の理由はさまざまですが、決めるための材料が足りないまま入社すると、入社後にずれを感じやすくなります。
歯止めになる決まり
- 返戻金制度:紹介された人が早く辞めたときに、手数料の一部を会社に返す制度です。紹介会社は、手数料表と返戻金制度に関する書面を、インターネットなどで公開しなければなりません
- 転職勧奨の禁止:2025年1月から、紹介で就職した人(期間の定めのない契約で就職した人)に対して、就職から2年間は転職を勧めてはならないことが、職業紹介の許可の条件になりました
- お祝い金の制限:同じく2025年1月から、社会通念上ふさわしいとされる程度を超える金銭などを提供して、求職の申込みを勧誘することが禁じられています。「入社したらお祝い金」を前面に出す案内には、注意してください
- 実績の公開:厚生労働省の「人材サービス総合サイト」では、事業者の許可番号のほか、あっせんした就職者数、就職後6か月以内の離職者数、紹介手数料の実績を調べられます
上手な使い方
- 登録は1〜2社にします 連絡が多すぎると、判断が雑になります。比べるなら、2社までが目安です
- 最初に、譲れない条件を3つ伝えます 年収、勤務地、働き方(残業・夜勤など)の優先順位と、転職の時期、連絡の手段と時間帯を伝えておきます
- 決める時期は自分で決めます 承諾の期限を示されたら、理由を聞きます。他社の選考中であることを伝え、延ばしてもらえないか相談します
- 求人票にない情報を聞きます 「ご存じの範囲で、前任の方が辞めた理由と、直近で入社した方の様子を教えてください」「残業は直近1年の実績で教えてください」と頼みます
- 勧められた理由を聞きます 「なぜこの求人が私に合うのですか」と聞き、希望から外れた求人が続くときは、希望を言い直すか、担当の変更を頼みます
- 応募の経路は一つにします 同じ会社に複数の経路から応募すると、手続きが重なることがあります
- 今の勤め先に知られたくない場合は、先に伝えます 会社名を伏せた紹介にしてもらう、連絡は夜間にする、などを頼めます
- 合わなければ変えます 担当者の変更や、登録の停止ができます。方法は、各社の公式ページで確かめます
エージェントを使わず、求人サイトや企業の採用ページ、ハローワークから直接応募する方法もあります。条件のやり取りや日程の調整は、ご自身で行います。
しごと帖の立場
しごと帖は、求職者の方を企業にご紹介することはしません。ご案内するのは、転職エージェント・求人サービスの公式ページまでで、登録は各社で行います。運営の費用は、ご案内先からの広告料・成果報酬です。ご案内の順や評価は、診断の回答との合い方を基準にしていて、報酬額で変えることはありません。お祝い金を条件にした案内もしません。詳しくは「広告掲載・PR表記について」をご覧ください。
出典
- 職業安定法 第32条の3(e-Gov法令検索):求職者からの手数料の禁止
- 職業安定法施行規則 第24条の5(e-Gov法令検索):手数料表・返戻金制度の公開
- 令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)(厚生労働省)
- 医療・介護・保育分野の職種別平均手数料・離職率(厚生労働省)
- 職業紹介事業に関するアンケート調査 結果の概要(厚生労働省・2013〜14年実施)
- 職業紹介事業の許可条件が追加されます(厚生労働省・2025年1月1日施行)
- 人材サービス総合サイト(厚生労働省)
確認日:2026年10月3日
